TECHNOLOGY技術開発

TECHNOLOGY

技術・開発

技報

当社の技術開発の内容(要素開発~ 製品開発)を「技報」としてまとめました。
その概要を掲載します。

超音波探傷における
波形相関処理技術

古田 久人

技術コンサルティング事業本部 技術統括部 プロジェクトチーム

超音波探傷検査に波形相関処理技術を適用し、これまでにノイズに埋もれてきずエコーとの識別が難しかった対象物の検査が可能となった。さらに、現地で使用できる波形相関処理のソフトウェアを作成した。本稿では、参照波形にチャープ波を用いた波形相関処理の概要とその適用例を紹介する。

キーワード
超音波探傷・波形相関処理・チャープ波

深層学習をベースとした
パターン認識手法の開発

堅多 達也*1・服部 洋*2

技術開発室 技術開発チーム*1-2

近年、深層学習などに代表されるAIが注目を集めている。当初は、囲碁や将棋のゲーム、画像認識のベンチマーク問題が対象であったが、これらにおいて著しい成果を挙げたことから関心が高まり、実問題への適用が議論されるようになった。一方当社では、パターン認識手法としてニューラルネットワークや画像に特化した手法であるFCM識別器を活用し、人手による監視や検査・点検といった業務を自動化する実システムの開発を行っており、今後もこのようなニーズが増えると考えられ、社内のAI技術力の向上と更なるシステム開発が期待されている。本稿では、深層学習をベースとした当社独自のパターン認識手法の確立に関する取り組みについて述べる。

キーワード
深層学習・パターン認識・ニューラルネットワーク・転移学習・DL-FCM・AI

センサ情報を用いた
異常検知手法の開発

服部 洋*1・中山 正純*2・畑中 章秀*3
北川 直希*4

技術開発室*1-3、九州事業部 保全部*4

本稿では、健全状態のみを学習することで、健全状態と異なる状態、すなわち、異常状態を検知可能な手法について検討を行った。検討では、回転機械での異常検知を対象にOne-Class SVM、オートエンコーダおよびマハラノビス距離の3種類の異常検知手法を適用し、ベアリングの外輪きずの検出可否を検討した。
検討では、サイズの異なる3つのベアリングきずを対象とし、加速度センサから取得したデータを用い、検証を実施し、いずれの手法においても、健全時の振動応答を学習することで、きずが発生した際の振動応答が健全時と異なる応答であることを検出することが確認できた。

キーワード
異常検知・One-Class SVM・オートエンコーダ・マハラノビス距離・回転機械

電磁超音波探触子を用いた
非接触測定技術

古田 久人*1・眞仁田 祐三*2
小畠 卓也*3・嶋田 寛*4
宮下 等*5・林 伸也*6・眞下 守*7

技術コンサルティング事業本部*1-3
九州事業部*4、広島事業部*5-6、京都事業部*7

電磁超音波探触子を用いた肉厚測定システムを開発した。電磁超音波探触子は探触子を直接試験体に接触させる必要がなく、非接触での測定が可能である。この特徴により、スケールが付着した管をスケールを除去する前処理を実施せずに測定することが可能となり、これまで手の届かなかった箇所の測定が容易になった。本稿では、電磁超音波探触子の概要や開発した肉厚測定システムについて紹介する。

キーワード
電磁超音波・EMAT・肉厚測定システム

アンカーボルト劣化判定システム
(SABHC®)の開発

小畠 卓也*1・古田 久人*2・原田 浩幸*3

技術コンサルティング事業本部 技術統括部
プロジェクトチーム*1-2
技術コンサルティング事業本部 営業統括部

株式会社ネクスコ・エンジニアリング北海道殿と共同開発したアンカーボルト劣化判定システムは、アンカーボルトの劣化(ねじ山欠損、亀裂)状況を超音波探傷により測定者が容易に把握できるシステムであり、2017年より販売を開始している。従来、超音波探傷によるアンカーボルト点検は専門技術者により行われてきたが、本システムの開発により誰でも容易に点検することが可能となった。
本稿では、本システムの概要について紹介するとともに、適用範囲を拡大するために改良した狭小部対応型システムならびに判定支援ソフトウェアの開発についても紹介する。

キーワード
アンカーボルトの劣化・ねじ山欠損・ボルト亀裂・超音波探傷

非破壊検査へのAI技術の応用
─超音波探傷検査における自動判定─

服部 洋

技術開発室 技術開発チーム

当社では、超音波探傷技術を用いた一般的な非破壊検査に加え,浸炭検査や管端溶接部のPAUT検査など目的に応じて高度な非破壊検査を実施している。従来、これらの検査結果は識別対象の有無を技術者が目視で判定しているが、識別が困難であり熟練技術者でなければ判定できない、判定すべきデータが非常に多く判定に膨大な時間がかかるなどの問題があった。
そこで、本研究では、判定精度の向上および効率化を目的として、超音波探傷結果の判定へのAI技術の導入を試みた。具体的には、管端溶接部のPAUT検査の探傷波形に対する画像認識技術、アンサンブル手法を用いたきず有無判定を構築した。また、GUIを構築し、容易に実行できるようにするとともに、判定結果を自動的にレポートに取りまとめる機能も付加した。実機より取得したデータに対して、その有効性を検証した。

キーワード
非破壊検査・AI(人工知能)技術・管端溶接部・フェーズドアレイ

AIを用いた損傷検知機能を有する
状態監視システムの開発

中山 正純*1・服部 洋*2
畑中 章秀*3・北川 直希*4

技術開発室*1-3、九州事業部 保全部*4

当社では、メンテナンス事業の拡張を図るために、状態監視に基づく予防保全支援システムの開発に着手した。さらに、状態監視データから予兆を捉えるために、機械学習に基づく損傷検知手法を開発し、予防保全支援システムへ実装した。さらに、これらのシステム検証を目的として、実機回転機械を対象とした現地実証試験を行った。本稿は、開発した予防保全支援システムの概要と、現地実証試験の結果について述べる。

キーワード
予防保全・ICT技術・状態監視保全・周波数分析・損傷検知

低振動ハンマーを用いた
トリミング装置の実用性検討

熊谷 嘉隆*1・竹内 政喜*2
塚本 賢吾*3・松浦 亮介*4
末次 力*5・鳥巣 竜弥*6・畑中 章秀*7

九州事業部 第2エンジニアリング部*1
九州事業部*2
九州事業部 第1エンジニアリング部*3-6、技術開発室*7

当社では、ロボットを用いたダイカスト製品のトリミングの自動化に取り組んでいる。現在、多品種に対応できる汎用性を有し、かつ、設計が容易な装置が求められており、6軸アームロボットの先端に、直接ハンマーを取付けたトリミング装置について検討した。ハンマーとしてはロボットアームへの衝撃影響を考慮して、低振動ハンマーを採用した。本開発では、打撃モード(単一&連続打撃)が異なる2種類の低振動ハンマーを選定し、その性能評価のために衝撃荷重を計測した。衝撃荷重の評価としては、打撃する対象物の振動応答から逆フーリエ変換手法を用いた数値計算により間接的に推定する方法を用いた。また、これらのハンマーをロボットに設置し、トリミングの試行を行い、実用性を評価した。

キーワード
ダイカスト・6軸ロボット・トリミング・低振動ハンマー・衝撃荷重・逆FFT

舞台吊物機構/昇降機ユニット
(フリートアングル調整機能付きウインチ)
の開発

内田 勝己

機械・建設事業本部 エンジニアリング部
大阪第3グループ

舞台機構設備の一つである吊物機構に用いる昇降機ユニットを対象に、当社独自のフリートアングル調整機能付きウインチを開発した。本システムは、従来の固定されていた巻取りドラム自体を横移動させることにより、非常に小さな負荷でワイヤロープの出入りが可能となり、フリートアングルをほぼ「0(ゼロ)」にすることができる。また、補助ローラーによりワイヤロープの巻溝に整列させることができるため、ワイヤロープの乱巻きを防止することが可能となった。本稿では、開発した昇降機ユニットの概要について述べる。

キーワード
昇降機・ウインチ・トラバーサー・フリートアングル

カメラ式車両
検知ソフトの開発

堅多 達也

機械・建設事業本部 開発部

機械・建設事業本部では、2000年より自走式駐車場向け誘導システムの販売を開始し、当初は屋内(地下)駐車場限定のシステムとしての販売であったが、2018年より屋外向けシステムの販売も開始した。誘導システムは来場者を空きスペースに自動誘導するためのシステムで、当社が提供するシステムの特長は駐車車両の検知にカメラを使っていることで、場内の監視システムとしての機能も併せ持っていることである。このシステムのコアとなるのは、カメラ画像から駐車車両を検知するカメラ式車両検知ソフトで、当社では画像認識手法FCM識別器を応用して屋内外を問わずに対応可能な独自のソフトを開発した。本稿では、当社独自の画像認識手法であるFCM識別器と開発したカメラ式車両検知ソフトについて述べる。

キーワード
自走式駐車場誘導システム・IPカメラ・画像認識・車両検知・FCM識別器・屋外

渦励振に対する
鋼製煙突の制振対策

潘 超*1・松田 良平*2・畑中 章秀*3

技術コンサルティング事業本部
技術統括部 構造技術部*1-2
技術開発室*3

構造物は地震や風、人や車の通行などの様々な外力に曝されている。これらの外力の周期と構造物の周期が近い場合、共振状態となって構造物に非常に大きな振動が発生することが知られている。これらの振動問題に対して、当社では同調質量ダンパー(Tuned Mass Damper、略称TMD)と呼ばれる制振装置を用いた制振対策に取り組んでいる。本稿は、TMDを用いた制振対策事例として、渦励振に対する鋼製煙突の制振対策を対象に、制振装置の基本計画から現地適用までの概要を紹介する。

キーワード
カルマン渦・渦励振・ 鋼製煙突・同調質量ダンパー・TMD

放電衝撃破砕工法の
技術概要と実績紹介

阪本 良*1・田村 美佳*2

機械・建設事業本部 エンジニアリング部
大阪第2グループ*1-2

放電衝撃破砕工法は、コンクリートや岩盤などを破砕するために日立造船(株)が開発した非火薬破砕工法である。本システムは高電圧、大電流を短時間で放電することが可能な放電衝撃発生装置および供給されたエネルギーによって衝撃力を発生することができる放電カートリッジから構成されており、1GPaの圧力を100μsの時間で発生させて対象物を破砕することができる。本稿では、放電衝撃破砕工法の技術概要と最近の施工実績について述べる。

キーワード
放電衝撃発生装置・非火薬・低騒音/低振動・災害復旧